みんな大好き?フロック。
彼は物語に奥行きとリアルさを与える、非常に面白いキャラクターだと思います。
身近にいたらイヤだけど、「残酷な現実」の話の中で、けっこう大きな役割を負っている。
特に最近(125話時点)は、よくこんなキャラを事前に仕込んでたな‥と。
彼の名前、フロック・フォルスター( Floch Forster)。
つづり違いですが、フロックには「思わぬ幸運(fluke)」や「群れ・群衆(flock)」といった意味があるようです。
ここから、初登場からの彼の変貌ぶりとその理由、物語における役割について考察してみます。
「思わぬ幸運」(fluke)を得たフロック
エレンらと同じ104期だったフロック。
初登場時(70話)は、ジャンをほうふつとさせる、ちょっと生意気なくらいの印象だった。
・・今や一番変わったのはお前さんだよ。
ウォールマリア奪還作戦で生き残る
新米兵士として参加した、ウォールマリア奪還作戦。
憲兵団から調査兵団に変わったのは、自己犠牲の精神からだったらしい。
誰かが危険を冒してでも行動しなくちゃいけない…
誰かを犠牲者にさせないために自分を犠牲に出来る奴が必要なんだってな…
そんな勇敢な兵士は誰だ? そう聞かれた時…それは俺だって… 思っちまったんだ…
しかし、初めての実戦が、いきなりの死を覚悟しなければいけないものだった。
でも…まさか… そうやって死んでいくことが
…こんなに何の意味も無いことだなんて 思いもしなかったんだ…
ー80話「名も無き兵士」ー
今のフロックからは想像できないくらいの気弱キャラ。
でも、みんな作戦に従うしかない中で、一人思ったことを正直に言うフロック。
そしてエルヴィンの作戦により、マルロらとともに獣の巨人に決死の特攻をする。
その中で、幸運にも奇跡的に生き残る。
彼の役割ー「悪魔をよみがえらせるのが俺の使命」
そして、瀕死のエルヴィンを生き返らせるべく、リヴァイの元へ。
悪魔を再び蘇らせる…それが俺の使命だったんだ!!
それがおめおめと生き残っちまった…俺の意味なんだよ!!
巨人を滅ぼすために悪魔をよみがえらせることが、自分が生き残った意味なんだと。
ここは、エルヴィンに対する恨みも感じます。
そして、後にエレンという悪魔を信奉し支える、彼の役割につながっているように思います。
しかし、リヴァイが選んだのはアルミンだった。
結局、この時自分の意見が通らなかった(そして、「自分たちの命が軽視された」と感じたか)ことに対して、ずっとすねているような感じもしますが。。
その後、アルミンに「エルヴィン団長が選ばれるべきだった」と言うフロック。
「大事なものを捨てることができなかった」と言うのは、ある意味そうかもしれない。
そもそも捨てるべきかどうか、正解があり得るのかは置いておいて。
ふつうの人間の気持ちを代弁するフロック
命令で死なざるを得ない立場、「雑魚」キャラとして、多くの人間の不安を代弁してるのがこの時のフロック。
アルミンも、自分が言ったことでもあるし何も言えなかった。
(それよりも、アルミンにはエルヴィンより自分が選ばれた罪悪感があったでしょうから‥)
*このアルミンのセリフを軸に、キャラの変遷をたどることもできる。つまり、人間性(愛や情)を捨てて命を守ることと、危険を承知で人間性を選ぶこと。アルミンは時にゲスミンになりつつも、その間で葛藤している。ジャンはその意味では最も人間味のあるキャラ。フロックは人間性を捨てるほうにふりきっている。さてエレンは・・?
「群れ・群衆」(flock)の象徴としてのフロック
102話で久々に登場したフロック。
敵を駆逐するためにはエレンという「悪魔」が必要だとジャンに言う。
フロックとジャンの対比
ここから、フロック登場の多くのシーンにはジャンが一緒にいて、両者の違いを対比させるようになる。
ジャンは大体、「こいつは‥」といった表情。だけどそれが間違ってるとも言えない感じ。
イェーガー派の大将として正論を吐く
そして、彼は島を守る「地ならしの力」を持つエレンを担ぎあげる、イェーガー派の親玉という役割を担うことになります。
どの道「力」が無ければ、我々は生きていけなかったわけですから
これもある意味、正論ではある。
そして、このときの兵団はたしかに何もできていない状態。
というか、エレン、ジーク、イェレナ、みんな目的が分からない状態だった。
この時は読者も分からない状態で、唯一分かりやすく迷いのなかったのがフロック。
不安な群衆を代表する、悪キャラのフロック
世界の真相を知ったパラディ島の住民も、イェーガー派の台頭を熱望するようになっていました。
まさに、群衆の代弁者となったフロック。
地ならしのため、ジークとエレンの接触のために動く。
ただ、そのやり方は卑劣そのものの悪キャラぶりを発揮し始めます。
新兵たちにキースをボコボコにさせ(113話)、訓練兵を自分たちの手下に。
虎の威を借りる狐になって、自分のやりたいようにやり始めました。
彼からは、民のためにというのは感じないんだけど・・。
ただし、彼の存在がなければエレンも動くことはできずに、パラディ島は早々に攻め込まれていた‥のかもしれない。
死への危機感が人一倍強い彼だからこそ、この役割ができたという見方もまあできるかも。
フロックの役割が終わるとき
エレンが地ならしを起こした今(125話)。
絶頂期を迎えたフロック(^^;)は義勇兵を拘束し、反発するものは銃殺。
しばらくは、パラディ島はイェーガー派に占拠されそうです。
10か月前にエレンから計画を聞かされてたということですが。。
ただし、エレンは彼を信用しているわけでなく、自分の目的のために利用している可能性が高いでしょう。
フロックは最初から、死を非常に恐れていました。
彼は「生き残る」という意味では正しい選択をしているかもしれないけど、一方で人間味と愛のないキャラクター。
生に対する執着で動いているけども、そもそも自分の価値は感じてないと思う。
ケニー風に言うと、そんな彼は「力」と「権力」の奴隷になって自分を失ったんじゃないかな。
おそらく、その大きな原因は、彼が「使われるしかない」立場で死に向かわされたから。
しかしながら、その恨みや無力感に自分で気づくことなく、ただ自分が上に立ち人を支配することに溺れていった‥という(勝手ながらの)印象。
*自分が上に立って暴虐にふるまうことで、過去の復讐をし続けているとも言える。でもそれで、もともとの感情が無くなるわけではないから、歯止めは効かなくなくりやすい。
予想を外してくる作者ではあるけど‥
普通にいけば。
エレンの真意が分かるとともに、彼との違いがはっきりし、その時にフロックの役割も終了するのではないかな、と思う。
蛇足。たしかに、彼だけ海を見たときにいないんですよね~。
進撃59話ジャンが2人の仲裁に入るとこからフロックの「雑魚にだって値踏みする権利が〜」のとこまで、少ないですが作監を担当させていただきました フロックはどんな気持ちで海を見たのだろう…と考えています お疲れ様でした ご視聴ありがとうございました #shingeki pic.twitter.com/Z4idXtILkp
— のび (@erk_nshr) June 30, 2019
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